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幼い子供が手を伸ばして、あれが欲しいと言って泣く。
だけど、泣いても手に入らない。
それを理解してから、人は欲しいもののために泣かなくなる。

とても欲しいものがあった。
それがあれば他の何を捨ててもいいと思ってた。
だけど、心のどこかでもう、絶望的に分かっている。知っている。
本当は捨てられないものばかりなのだと。

降り始めの雪を見上げていた、あの
キラキラした瞳はもう2度と取り返せない。
そしていつの間にかあたしの周りには
身動きできないほどの雪が降り積もっていた。

スナフキンになりたかった。
なにものにも捉われず、自由で、それなのにみんなから一目置かれていて、
手招きされながら、それでも輪には入らない。
欲しいものがあっても手に入れない。
気の赴くままにどこへでも行ける自由さが羨ましかった。
自由というものが孤独と背中合わせにあるものだと知っていてもなお、
自由という豊かな響きに心奪われた。
どんなに楽しい場所に身を置いていても、
心のどこかがしんと冷めていて、人に興味が持てず、
心から愛することができない。
あたしも、あなたも、どこか似ていたね。
あなたはもっと不器用で、それを隠すことさえしなかったけれど、
それでも欲しいものができたと知った時、あたしはあなたを手放した。
大好きな人に幸せになってもらいたかったから。

人は誰かと出会うたびに、心の中に一つの部屋を作り出す。
見栄えのいい家具や、大好きな小物を並べて、
その部屋が居心地がいいように少しずつ変えていく。
やがてその部屋に誰もいなくなったとしても、時々ふいにその扉が開く。
予期せぬ場所で、突然。
それは昼下がりのまどろみの中だったり、読んでいた本の一部分だったり。
そうするととたんにあふれ出す。
あの時見ていた景色、情景、色、匂い、感触、声、その全て。
開けるのが怖くて、ずっとずっと怖くて、何年もしまっていた扉でも、
それでも消えてしまうことは決してなくて、あるときふいに溢れ出してしまう。
そうして声を出さずに泣く。
あの時の自分の想いに。果たせなかった切ない約束たちのために。

秋は嫌いだ。
無防備に心震わせるこの季節が近づいてくるともうダメだ。
冬に始まって、春と夏を一緒に過ごして終わった。
一度も感じたことが無かった季節。
あたしたちの名前が途切れた季節。
頬をなでる風が冷たくなって、
空気がきりりと澄み渡る秋の始まりになると、
いつもいつも思い出すのです。

しばらくは、あなたがあたしを呼ぶ声が聞こえていたよ。
たとえ離れ離れになったとしても、
あたしたちの運命はいつか必ずまた交差すると信じていた。
馬鹿みたいだけどね、うん。

あなたは幸せになれたかな。
誰かを愛することが出来ているかな。
心許ない夕暮れの切なさにひざを抱えていないかな。
あなたがいつもあたしが泣いていないかなと心配してくれていたように、
あたしもあなたのことはずっと心配しています。
今はそれを知るすべもないのだけれど。

そして、そっとまた扉を閉めます。
今度いつ開ける日が来るか分からないけれど。
あたしが何かを書くのはいつもあなたのためだった。
書けなくなったのも、あの日からだった。
悔しいけど、それは何年経っても同じなんだ。
今も、これからもきっとね。


小さな黄色い花は、今もどこかで咲いているのかな。
見かけたら、たまには水をあげてね。
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コメント

  1. のぶ | -

    俺の思い出だけで、いっぱいにしてやる!!

    ( 20:27 )

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